松下直子の猪突猛進、一直線 世界放浪記編

松下直子の猪突猛進、一直線 世界放浪記編 松下直子の猪突猛進、一直線 世界放浪記編

あんちゃん©(株)オフィスあん 代表、の、日々の徒然。

World Wanderings

2025年3月22日_ワシントンD.C.@USA

キーノート、ラストは、セス・ゴーディン(Seth Godin)
メタファーがミルフィーユみたいに畳みかけられる。こんなアートなプレゼンは初めてです。

【超抜粋】

📝 パート1/6:開会の挨拶〜「意義ある仕事」の導入

省略

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📝 パート2/6:Seth Godin登壇〜「意義ある仕事」の本質とは

おはようございます!5月ですからね、まずはゴルフの話をしましょうか。…ゴルフって、観戦するには最悪のスポーツだと思いませんか?その理由は2つあります。

1つ目は、何も起きない。そして2つ目は、もし何か良いことが起きても、思いきり拍手することが許されない。

代わりに、あの小さなゴルフ拍手をしなきゃいけないんです(笑)。ではまず、最悪なゴルフ拍手から始めましょう👏

もっと大きく👏さらに👏もう一回👏いいですね!ありがとう!

実はこれは、組織の中で私たちがやっていることのメタファーなんです。ちいさな「つながりの芽」「関心の糸」を見つけて、それを増幅して、仲間と一緒に広げていく。まさに私たちの仕事の姿です。

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さて、ここでちょっとやってみてください。

右手をできるだけ高く挙げてみてください。

ありがとうございます。では……さらにもう少し高く!

――どうして今、それができたんでしょう?

実は私たちって、常に“まだ出し惜しみしてる”状態なんです。

なぜなら、人生の中でずっと「もっとやれ」「まだやれる」と言われてきたからです。親に。体育の先生に。英語の先生に。上司に。ずっと。だから、最初から本気は出さない。全力を求められるかも、と構えてしまうんですね。

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「最高の仕事」は、出し惜しみしなかった時に起きている

少し考えてみてください。

あなたが今まで経験した「最高の仕事」って、どんなものでしたか?

誰に聞いても、その「最高の仕事」は違います。職種も業界もバラバラ。正解なんてない。でも、共通しているのは、そこに“何か特別な感覚”があったことです。

私は90か国、1万人以上にアンケートをとりました。「最高の仕事とは何か?」

まず最初に、よくある“上司目線の要素”――

昇進できる/人に指示できる/クビにならない――を並べてみました。でも、それだけでは全く足りませんでした。

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彼らが口にした「本当に大切なもの」はこうでした:

🏆 成し遂げたという感覚(Accomplishment)

🕊️ 自律と選択の自由(Independence)

🤝 尊重されること(Respect)

これらがそろったとき、

人は「これは、人生で一番良い仕事だった」と感じるのです。

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📝 パート3/6:ミツバチの「成長の歌」と、リーダーが果たすべき役割

さて、ここで「Song of Increase(成長の歌)」という、私が大好きな話を紹介します。これはジャクリーン・フリーマンという著者から学んだものです。

5月、北アメリカ。ミツバチたちは長い冬を越えて、ようやく春を迎えます。巣は傷んでいて、ギリギリ生き残った状態。女王蜂は見た目“リーダー”ですが、実際に命令を出しているのは働きバチ(メイデン)たちです。彼女たちが「今、女王に卵を産ませる時だ」と指示を出します。

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🐝 そしてある時、奇跡のような出来事が起きる

巣が十分に回復し、ハチミツが蓄えられたその時――

女王蜂とすべての大人の働きバチたちが、一斉に巣を離れるのです。彼女たちは空へと飛び立ち、「Song of Increase(成長の歌)」を歌いますそれはまるで、空に向かって未来に賭ける歌。

彼女たちは3日以内に新しい場所を見つけないと全員死にます。

でも、それでも彼女たちは飛び立つのです。

そして、彼女たちが残していくのは:

• 新しく生まれる幼虫たち(次世代)

• 新しい女王蜂

• そして、巣いっぱいのハチミツ

これは、「命がけで未来を渡す」「次の世代へ意義を託す」行為。この歌を聞いた人は、決して忘れることができないと言われています。

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🧭 リーダーの役割とは、「意義の歌」を歌う空間をつくること

私たち、組織の中のリーダーや教育者、人事担当者は、

「Significance(意義)」の歌を歌える場をつくることができるんです。

つまり、単に働くのではなく、

✨「意味のある仕事を共にする」

✨「自分がここにいてよかったと思えるような体験」

を可能にする空間を築くことです。

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🚴‍♂️ それを実現するには、時に「型破り」が必要

ある自転車レースで、最後尾の選手がとった行動を紹介します。

彼は常識にとらわれず、全く新しい空気力学の姿勢で走りました。

誰もが笑ったけど――彼の挑戦が、新たな流れをつくったのです。

これは、組織の中でも同じ。

「マニュアル通りにやること」に慣れていると、革新は生まれません。

でも、時に誰かが「違うやり方をしてみよう」と動くことで、

組織全体が次のステージに行けることがある。

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🚫 もうやめよう、「椅子取りゲーム」

皆さんご存じの通り、椅子取りゲームは「誰かを排除する」仕組みです。

• 9人のプレーヤーに、椅子は8脚。

• 音楽が止まると、誰か1人が座れず“脱落”。

これはまさに、多くの組織で行われていることの象徴です。

「限られたポスト」「限られたリソース」に人々が群がり、

協力よりも競争が先にくる。

でも、社員が望んでいるのは――

希少性(Scarcity)ではなく、豊かさ(Abundance)なんです。

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🔑 次につながるキーワード:「5つの行動指針」

Sethは、このようにまとめました:

1. これは「未来に向けた選択」である(AIや世代交代の中で)

2. 「管理者」ではなく「リーダー」になることが求められている

3. 曖昧さや葛藤に向き合うスキルが必要になる

4. 責任は自ら引き受け、成果は他者に渡す

5. 「本気でやる」か、それができないなら「やめる」勇気を持つ

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📝 パート4/6:Interface社の変革と、「Page 19」を書く人になる

🧶 「あなたは交通渋滞に“巻き込まれている”わけではない」

まず、こんな言葉から始まります。

「あなたは交通渋滞に巻き込まれているのではない。あなたが“交通渋滞”なのだ。」

つまり、「状況の犠牲者」をやめよう、ということです。

私たちはよく「この状況では仕方ない」「できる限りやった」と言いますが実際には、自分自身がその“状況”を形づくっているんです。

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🧵 Interface社の実話:世界で最も汚い産業から、サステナビリティの象徴へ

Ray Andersonという人物がいます。彼は30年前、自社のカーペット会社(Interface)が世界で最も環境に悪い企業の1つだと気づきます。その後、幹部6人を部屋に集め、こう言いました:

「10年以内にカーボン・ニュートラル(炭素排出ゼロ)を実現し、その後は“カーボン・ネガティブ”を目指す。」

幹部たちはパニックに陥りました。「私たちは、ただのカーペット屋ですよ!?そんなの無理です」と。でもRayは言いました。

「やり方は分からない。でも、私は君たちをサポートする。」

この一言が、変革のすべての始まりでした。株価も伸び、従業員は口を揃えて言いました:「これは、私の人生で最高の仕事だった。」

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📄 “Page 19 Thinking”:未完成ページの筆者になる勇気

Sethが主導したもう一つのプロジェクトが『Carbon Almanac(カーボン年鑑)』です。

世界90か国、1,900人の共同執筆者で、9.7万語の本を5か月で作り上げました。しかも、指示役はいない。

Sethはこう伝えました:「この本の“Page 19(19ページ)”はまだ白紙だ。誰かが下書きを書く。そして、誰かがそれを改良する

それは“失敗”ではなく、“先へ進める土台”なんだ。」

つまり、「未完成の何かを恐れずに書き出す人になる」――それが、リーダーシップの始まりなんです。

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🤲 「責任を引き受け、功績を譲る」文化を

組織が変わるには、この姿勢が欠かせません:

• 責任は自分がとる

• 成果や手柄は、他人に譲る

これが実現できると、組織は協力しあい、豊かさが循環する場になります。もう椅子取りゲームは必要ありません。

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🧭 「マップではなくコンパスを渡す」組織設計

典型的なピラミッド型の「指示伝達型組織」は、

最前線の人たち(接客、製造など)にまったく裁量を与えません。

でも例えば、リッツカールトンでは:

• 清掃スタッフにも2,000ドルまでの裁量権が与えられている(お客様の満足のためなら、即決OK)

これは「地図を渡す」のではなく、“目的地の方向(コンパス)を示して、進み方は任せる”というやり方です。

「信頼できないから与えられない」というなら、それは組織側の問題です。

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🧵 “人は機械の部品ではない”という真実

企業の組織図には、よく小さな四角が並びます。

それは、「誰でもその枠に当てはめられる」ことを意味しています。でも本来、人は唯一無二の存在です。彼らの仕事には「署名(サイン)」が必要です。

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📝 パート5/6:リアルスキルとは?|態度×緊張感が文化を変える

🧠 決断=成果じゃない。“良い判断”と“良い結果”は別物

Sethの問いかけ:

「この半年で、良い判断をひとつでもしましたか?」

→ 多くの人が手を挙げる

「では、その判断は良い結果になりましたか?」

→ みんな「YES」と思う

でもそれ、本当に関係ある?たとえば、宝くじを買って当たったら“良い判断”だった?

…ちがう。

「判断の質」と「結果」は別の話なんです。私たちは「結果」に依存しすぎると、決断することそのものを恐れるようになります。

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🏄‍♂️ ゴルフ型人材 vs サーフィン型人材

• ゴルフ型:変化なし。条件も動かない。ちょっとずつスコアを縮める。

• サーフィン型:毎回違う波。波を「選ぶ力」こそが重要。

これからの時代に必要なのは、波を見て、動ける人材です。つまり、「ルールをこなす人」ではなく「変化を起こす人」。

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🎁 責任を引き受け、功績を与える文化を築こう

こんなシンプルな原則をSethは提示します:

Take responsibility, give credit.

(責任は自分が引き受け、手柄は他人に)

これができる組織は、ミュージカルチェア(椅子取りゲーム)をやめて、「余白がある・豊かさがある」チームに変わっていけます。

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🦁 本当の共感:「実用的な共感(Practical Empathy)」

「相手の立場に立つ」って、よく聞きますよね。

でも本当はこうなんです:

❌「私があなただったらこうする」

✅「私はあなたじゃない。あなたがあなたであることを、私は理解しようとする」

この「実用的な共感」が、真にエネルギーある組織を育てます。

Dorothyを助けたTin Manもライオンも、最初は自分のために旅に出た。でも旅の中で、他者のことを考えるようになった――そんな物語と同じです。

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🪨 Inuksuk(イヌクシュク):存在の証を残す

これはカナダの先住民の文化で、石を積んだ道しるべです。

「ここに人がいた」「そして、この先へ進んだ」

組織においても、人がその仕事に“署名”できるかが重要です。人は“入れ替え可能な部品”ではない。その人がいたという痕跡が、文化になる。

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🧠 緊張感(Tension)=成長のための摩擦

Sethは言います:

ストレスではなく、緊張感を持て。

• ストレス=同時に2つを求めてパンクしそうになる状態

• 緊張感=「このバンドを引けば、次の音が出る」ような創造的な摩擦

音楽も演劇も、緊張感があるからこそ、魅力がある。職場も同じ。「摩擦のない職場」では、誰も挑戦しなくなる。

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🧭 リアルスキルとは何か?

あるインターンの集まりで、Sethは言います:

「今からチームを組んで、ビル・ゲイツのプロジェクトに取り組む。あなたがリーダーなら、誰を選びますか?」

そのとき、誰もが選ばれる側としての自分を意識しました。

そしてこう問われました。「6週間前、ここに来たときから“選ばれる自分”でいようとした?」

→ していない。

でも、人生って実はずっと椅子取りゲームなんです。

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🎓「LinkedInに書きたい人材像」を自分が体現できているか?

• 正直さ

• 誠実さ

• 革新性

• 他者への共感

• ポジティブな影響力

このリストの多くは、「才能」じゃなくて「態度」。

そして態度はスキル。学べるし、育てられる。

💡 Zig Ziglarの言葉:

GAS=Gifts(才能)・Attitude(態度)・Skills(技能)

本当に大事なのは、Attitude。

そしてそれは、鍛えられる。

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📝 パート6/6:採用の再定義と、月に残る足跡の話

🏭 採用を「面接ゲーム」から解放せよ

多くの企業がまだこう考えています:

「うちの採用は、面接を通じて“良さそうな人”を選ぶんだ」

でも、Sethは問いかけます。

❌ 「面接が上手=良い社員」ではない

❌ 「印象が良い=仕事ができる」ではない

なぜなら、**面接は“一度きりのショー”**だから。

現実にはもう二度と同じ「面接」を仕事ですることはない。

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🧁 Greyston Bakeryの実例:「オープン・ハイヤリング」という革命

ニューヨーク州ヨンカーズにあるベーカリー「グレイストン」では、こんな採用をしています:

• 応募者は、名前と電話番号をクリップボードに書くだけ

• 空きが出たら、順番に雇用

• 2週間のトレーニング後、仕事を続けられるなら採用完了

結果はどうなったか?

✅ 離職率が他社より圧倒的に低い

✅ 生産性・顧客満足も高い

✅ 採用にかかる“偏見”が排除され、機会が均等に

その後、ボディショップ社でも同モデルを導入。離職率が60%減!

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👣 「文化づくり」こそが、人と人を惹きつける

優秀な人は、“一番給料が高い職場”ではなく、「自分の存在が大切にされる職場」に惹かれる。

• 尊重されること

• 目的に向かって共に歩めること

• 自分が“この仕事に名前を刻める”こと

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🌕 月に残された足跡の話(最終章)

Sethがある夜、家族と共にニューメキシコのイベントに招待されました。

寒空の下、毛布にくるまり、丘の上の焚き火の周りにいたその場で―スピーカーとして登場したのは、あのニール・アームストロング。

その夜、満月が彼の肩越しに昇り始めたとき、彼はこう言いました:「私は、あそこへ行ったことがある。」

そして彼が撮ったあの写真には、月面に“足跡”が残っていた。

NASAがそれを成し遂げた当時、彼らの計算能力は今私たちのスマホ以下。

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🎯 私たちの仕事にも、足跡を残す意味がある

Sethのラストメッセージ:

「私たちがここにいる理由は、“株主に3セント多く稼がせる”ためじゃない。私たちは、“意味のある仕事”のためにここにいる。」

「目的(Purpose)とは、一時の成果のためでなく、時間を超えて続く機能性のことだ。」

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🎁 クロージング・メッセージ

Sethの友人Challenの言葉:

「この部屋にいる全員は、すでに成功している。

では、私たちは“意味ある存在であろう”と願えるか?」