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【第六回】功ある者には禄を、徳ある者には地位を(2)

「現物」で「年2回」払いの原則!?

うっかり、銀行のキャッシュディスペンサーコーナーに月の 25日に行ったりすると、ものすごい行列に出くわすことになり、「ああ、しまったぁ……。今日は企業の給料日だったかぁ」と気がつきます。

労働基準法第 24条には、賃金の支払いの5原則が定められていますから、

1 通貨払いの原則
2 直接払いの原則
3 全額払いの原則
4 毎月払いの原則
5 一定期日払いの原則

給料といえば「月給」という感覚の現代人。しかし、古代では、給与は年に2回の支給でした。

「律令」禄令 2(季禄条)より……。

2 凡禄。春夏二季。二月上旬給。秋冬二季。八月上旬給。

(意訳:禄(給与)は、春夏2シーズン分は、二月上旬に支給せよ。秋冬2シーズン分は、八月上旬に支給せよ。

現代人の私たちからすると、給与日がさぞかし待ち遠しかったことだろうと思われてなりませんね (笑)。

古代の給与は現物支給、「布類」が中心でした。農民からの税金は、毎年8月中旬から年末にかけて「布類」で中央にあがってきますから、例えば春夏 (2月)の給与( 禄 )には、 (あしぎぬ:粗く織った絹)や綿、布といった「布類」で支給されたわけです。

「律令」禄令 1(給季禄条)より……。

1 凡在京文武職事。及太宰。壱伎。対馬。皆依官位給禄。自八月至正月。
  上日一百廿日以上者。給春夏禄。
  正従一位。参拾疋。綿参拾屯。布壱佰端。鍬壱佰肆拾口。
  正従二位。弐拾疋。綿弐拾屯。布陸拾端。鍬壱佰口。(中略)
  正八位。壱疋。綿壱屯。布参端。鍬拾伍口。
  従八位。壱疋。綿壱屯。布参端。鍬拾口。(以下略)

(意訳:
  都で働いている文官武官と、太宰府、壱伎、対馬の国史は位階に従って、禄(給与)を与えよ。
  八月から一月までの勤務日数が120日以上であれば、春夏の禄を与えよ。
  正従一位には、を30疋。綿(※ いわゆる木綿ではない)を30疋。
  布(麻など)100端。鍬(くわ)が140口。
  正従二位には、を20疋。綿を20疋。布60端。鍬が100口。(中略)
  正八位には、を1疋。綿を1疋。布3端。鍬が15口。
  従八位には、を1疋。綿を1疋。布3端。鍬が10口……(以下略)

また、 幹部クラス (‘従五位下'以上)になると、上記にプラスして 「トネリ(人)」「土地(田)」が支給されていました。(それにしても、ものすごい「格差社会」だったことがうかがい知れますね。)

ここでひとつ、疑問が沸いてきませんか?  前回までの評価制度(第2回、第3回、第4回、第5回) が、いかに賃金システムに反映しているのかどうか、と。実は古代官僚制においては、 毎年の「考」 (こう:いわゆる人事考課) が、給与という処遇に直接反映していませんでした。 「考(こう)」の一定期間(常勤なら六年に一度)毎の総合審査で、昇階が決まり 、その決定された位階と役職 (ポスト)に給与が紐づいていた、というわけです。給与を上げたければ、位階をあげるしかなく、位階をあげたければ「成績」評価のみならず、「人物」評価が重視された「考(こう)」で評価をとらねばならなかったのです。

ある意味、古代官僚制はとてもシンプルな仕組みだったといえるでしょう。「従業員の賃金水準」そして「賃金総額の従業員個人への配分」の根拠をどう決定するか。古代では、位階に対して給与が支払われました。位階が上がれば上がるだけ、貢献が上がるということです。皆さんの会社では何に対して、給与が支払われていますか?

1.基本給のしくみ ⇒ 評価ウエイトの組合せ
 (1)年功/経験 ⇒ 年功給、勤続給、年齢給、本人給、本給
 (2)能力の習熟度 ⇒ 職能給、習熟給、資格給
 (3)職務価値 ⇒ 職務給
 (4)組織上の役割 ⇒ 役割給
 (5)企業業績の貢献度 ⇒ 成果給、業績給、成績給、実績給

2.固定的手当のしくみ
   ・役職手当・役付手当/家族手当/住宅手当/地域手当/単身赴任手当/子女教育手当/営業手当/通勤手当等のうち、
   ⇒ 仕事との関係が薄い手当は削減する傾向。

3.変動的手当のしくみ (労基法に基づく割増賃金)

ところで、古代官僚制における賃金システムはこの後、破綻の一途をたどります。賃金の源泉がその見込みどおり確保できなくなってくる。――そう、飢饉などにより租税の確保が困難になっていくのです。今も昔も、所詮システムはシステム。変動要素をいかに組み込むか、いかに変化に対応するか。運用の力量が問われることに変わりはありません。

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